流行りの商用車カスタムは利便性も最強だった!?
ストックの状態では飽き足らず、愛車にオリジナリティを求めて何らかのカスタマイズを施すユーザーは多い。ミニバンやSUV、ステーションワゴンなどベース車によってさまざまな方向性のカスタムが存在し、外装、内装、足まわりなど数え切れないほどのカスタムアイテムが存在する。
高速でカッ飛んでいくけど大丈夫? 質素な商用バンが速く走れるワケ
そんななかで、近年注目を集めているのが”商用車”をベースにしたカスタムジャンルだろう。いわゆるお仕事クルマである商用車には1BOXや2BOX(いわゆるバン)やトラックなどのボディ形状がある。いずれも荷物を運ぶのがメインの貨物車だ。そんな商用車ベースのカスタムが近年盛り上がりを見せているのだ。いったいどんな意図から商用車カスタムがもてはやされているのだろう?
ひとつの理由として考えられるのは商用車が仕事に特化しているため、デザインよりも積載性などを優先する点があげられるだろう。1BOXであれば荷室容積を稼ぎ出すために四角四面のボディ形状になり、フェイスなどはおのずとシンプルなデザインになりがちだ。そのため、カスタムしたときの変化量が大きくなるのだ。つまり商用車はカスタムした分だけ結果が出るベース車だと言うこと。乗用車に比べてスキがあるデザイン&装備が商用車をカスタムさせる動機になっているのは間違いないだろう。
近年の乗用車はストックの状態で完成しすぎていると感じているユーザーには魅力的に感じる商用車のカスタム。わずかなカスタムでもワンアンドオンリーなスタイリングを作り出せる可能性を秘めている。
さらに商用車を選ぶ理由に優れたパッケージングがある。たとえばバイクやスポーツサイクル、サーフィンなどの大きなレジャーギアを積載するには1BOXや2BOXといったボディが欲しい。さらにキャンプなどでたくさんのレジャーギアを持ち運ぶ際にも広い荷室は魅力であり、車中泊を考えた場合にもフラットなベッドスペースをカスタマイズしやすい1BOXはほかの車種では替えが効かない存在なのだ。
このように「従来のミニバンでは狭い」というニーズに合わせたセレクトとして商用車を選ぶユーザーも多い、しかも「商用車っぽい内外装のままで乗るのは嫌」というニーズから、ドレスアップを施すケースも少なくないのだ。
仕事も遊びもこなせるワガママな夢も商用車なら叶う!?
もうひとつは、仕事で日常的に使っているクルマを“ちょっとカスタムしてみたい”というもの。ウィークデイも週末も1BOX1台で楽しんでしまうと言うスタイルだ。その場合にキーワードになるのは外装のドレスアップはもちろんだが、注目したいのは乗り心地だろう。
荷物を積むことを主目的に設計された商用車の足まわりは耐久性重視の設計となっている。そのため乗用車のように快適な乗り味を手に入れるにはサスペンションまわりのさまざまなカスタムが必要になるのだ。しかも、外装同様パーツの交換やカスタムを施すことで狙いどおりの乗り味や車高を手に入れることができる。手を加えれば手を加えるだけ変わる感じも商用カスタムの醍醐味だろう。
商用車のカスタムにはいくつかのヒットジャンルがある。その代表的なモデルがトヨタ・ハイエース、日産・NV350キャラバンに代表される1BOXだ。箱車とも呼ばれる箱形のバンは、未経験のユーザーにはおよそカスタムとはほど遠い存在に思えるかも知れないが、じつはもっともホットなカスタムジャンルのひとつなのだ。
たとえば4ナンバーサイズのハイエースの場合、車両サイズのギリギリで設計され、フロントフェイスは切り立った平坦形状になっている。そこにデザイン性の高いエアロパーツやグリル、ダクトやボンネットを投入することで立体感や奥行きを出しているのだ。ハイエース用のパーツだけでも膨大な数が用意されており、ミニバン系のドレスアップはもちろん、レーシーなモディファイ、さらにはクラシカルな方向性のスタイリングなど、デザインの傾向やカスタムスタイルが選べるのも魅力となっている。
また、同様の傾向として軽バン(軽自動車の1BOXモデル)の人気も高い。とくにカスタムベースとしてもてはやされているのはスズキ・エブリイだ。ハイエース同様に四角四面なボディをカスタムするエアロパーツも充実する。さらにホンダ・N-VANへのカスタムパーツの充実も急ピッチで進んでいるので、軽バンベースのカスタムからも目が離せない。
そのほかにも軽トラックのカスタムというかなりニッチなカテゴリーも存在する。軽トラへの外装カスタムに加えて足まわりのリフトアップやタイヤ&ホイールの交換などのメニューも充実。さらに荷台へパイプワークなどを使ったラックを組むなど、軽トラらしいカスタムのスタイルが存在するのだ。スズキ・スーパーキャリイやダイハツ・ハイゼット ジャンボといったエクストラキャブを持つ軽トラをベースにしたカスタムもあり、独特のカスタム文化を作っている。
また、2BOXのカスタムもある。ベース車としてたびたび用いられるのはトヨタのプロボックス。さらにミドルサイズの1BOXではトヨタ・タウンエースや日産NV200といった車種にもカスタムパーツが用意され、オリジナリティ溢れるカスタムが実施可能だ。
外装カスタムではエアロパーツなどの充実があげられるが、商用カスタムでもうひとつのクライマックスとなるのが足まわりだろう。とくに貨物の場合はタイヤは車検対応のLTタイヤ(Cタイヤを含む)が必要になる。乗用ラジアルタイヤのようなロープロファイルのタイヤは存在せず、カスタムには一定の制約が生まれる。そこで逆転の発想からサイドウォールに文字を施したホワイトレタータイヤを積極的に利用するカスタムも見られる。タイヤハイトがある分サイドウォールが目立つことを逆手にとってのカスタムスタイルと言えるだろう。
たとえばハイエースにはそれらのタイヤも数多くラインアップする。例を挙げればグッドイヤーのナスカータイヤやトーヨーのH20、ファルケンのW11、さらにはオフ系のタイヤではトーヨーのオープンカントリーも注目される。ホイールと合わせて商用車ならではの足もとのカスタムを楽しむのも楽しいだろう。
ほかとは違う独自路線のカスタムを目指すにも絶好の商用車ベース。近頃はパーツの充実度も急速にアップしているので、ますますカスタマイズの幅が広がっている。「これがあのクルマ?」と周囲の人をビックリさせる個性的な商用車ベースのカスタムを完成させて、どこにもないオリジナルな愛車を作り上げてみよう。
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先日も岩城滉一さんが狩猟用にスーパーキャリイをカスタムして乗ってるのが紹介されていた